2024年10月に開催した「第2回ビジクル会」にてビジクルを導入いただいている大垣共立銀行IT統轄部の三輪展久氏に「OKBのビジクル活用法~チラシを活用した診断から案件創出~」と題して、ビジクル活用事例を紹介していただきました。
大垣共立銀行のIT統轄部ではITコンサルティング業務を行っています。お客さまのあらゆる業務の現状把握から課題の発掘、それに対するソリューションの提案を行い、会計、人事労務・勤怠管理、営業支援領域においてはITツールの導入から定着までの伴走支援を行っています。2021年にチームを立ち上げ、2022年1月から事業を開始しました。事業開始からまもなく3年になります。現在のメンバーは7名で平均年齢が20代半ばと比較的若いチームです。
先進国のなかで、日本の労働生産性は非常に低いといわれています。なかでも大都市と比べて地方の中小企業の労働生産性は半分以下とも指摘されています。この労働生産性の向上こそ地域経済の発展につながるのではないかと考えています。そこで地方銀行の役割として労働生産性の向上を目指すには、ITツールを活用した業務の効率化が最適解なのではないかと考え、スタートしたのがITコンサルティングです。
ITコンサルティングを進めていく上で、多くの課題が明らかになってきました。その課題解決のために取り組んだのがビジクルの導入・活用でした。
OKBのITコンサルティングは、案件の多くを営業店からのトスアップに依存しています。しかしながら、営業店の社員の多くは案件の発掘に不慣れなため、取引先にITコンサルティングを紹介する際に「話のきっかけが分からない」「話が続かない」などの声が上がっていました。
こうした状況を改善するため、2024年4月からOKBのホームページにて「OKB DX診断」という新しいサービスを開始しました。これは、ビジクルの診断機能を活用して、最短5分・無料で自社のDX進捗度を可視化できるサービスです。営業店の社員がITコンサルティングの業務に詳しくなかったり不慣れであったりしても、専用チラシを取引先に持参し、お客さまにスマートフォンでQRコードを読み取っていただければOKB DX診断のページにアクセスできます。診断結果はビジクルのシステムを通じてITコンサルティングチームに連携されます。ITコンサルティングチームは診断結果を確認し、提案できるものがあるか検討します。また、診断結果は営業店にも連携し、ITコンサルティングチームと同行訪問して取引先に最適なソリューションを提案します。
OKB DX診断を普及させるため、OKBホームページの目立つ場所にOKB DX診断のバナーを掲載しています。これをクリックするとOKB DX診断のページに移動します。
OKB DX診断には「守りのDX推進度診断」や「インボイス制度対策状況診断」といったいくつかの診断メニューが用意されていますが、何を実施したらいいか迷わず取り掛かれるように、もっとも基本となる「DX基礎診断」というOKB独自診断を作成し、「まずはこの診断」と表示をしました。この診断には「DX推進の必要性を感じていますか?」などといった約30項目の質問事項が表示されます。いずれの質問項目も「はい」「少し感じている」「いいえ」といったシンプルな選択肢から選ぶようになっています。
大垣共立銀行IT統轄部の三輪展久氏
「DX基礎診断」は、従来ITコンサルティングチームのメンバーが取引先との初回面談でヒアリングする内容を掲載しています。これを診断結果から事前に把握することで見込み顧客が発掘しやすくなり、初回面談もテーマを絞りやすくなるので、効率的な訪問が実現できます。
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OKB DX診断は専用チラシによるPRのほか、各種セミナーの会場内に専用ブースを設け、休憩時間に画面上にOKB DX診断にアクセスするQRコードを表示したりしています。また、社内通達にてOKB DX診断の活用方法や活用事例、営業店での活用実績を紹介しています。
OKB DX診断から成約に至った事例をご紹介します。1社目は従業員数24名、売上2.7億円の配管工事の会社です。
この会社が診断に至った経緯は、これまでトスアップが全く上がってこなかった営業店にIT統轄部から声を掛け、専用チラシを取引先に持参してもらいました。担当者は新しく異動してきたばかりの社員で、「取引先に何を案内したらいいか分からない」「どういう話をしたらいいか分からない」という悩みを持っていましたので、OKB DX診断の提案が、お客さまの課題を解決したいという思いを伝えるいいきっかけになったようです。
この会社は、ITコンサルティングチームのフォローにより自社に何が足りないのかを認識することができました。その結果、従業員同士のやりとりを電子化して業務効率化を図りつつ、コミュニケーションをとれる環境づくりを目指すことになりました。これに対してITコンサルティングチームはITツールの導入とそれに伴う伴走支援を提案し、ITコンサルティングの成約に至りました。
事例の2社目は、従業員数26名、売上10億円の中古車販売の会社です。この会社が診断に至った経緯は、「IT・DX推進」に興味があることを聴取したからです。OKBとは取引がなかったのですが、他の銀行でやっていないサービスということで興味を持たれたことから診断を受けていただきました。診断結果のフォローとしてITコンサルティングチームが訪問してヒアリングすると、効率化を行いたい業務が多数あることが判明したため、業界特化型のクラウドツールを紹介しました(ビジネスマッチング)。その他にも、ヒアリングを通して節税やSDGsに興味、関心を持っていることも分かりました。
今後は、いかに診断を増やしていけるかが課題であり、そのためのカギとなるのが継続的な啓蒙活動だと考えています。診断の充実としては、2024年9月に診断メニューを1件追加しました。今後も診断メニューを適宜見直し、効率よく案件獲得ができる内容に改善していく予定です。たとえば、セミナーの集客のために独自診断メニューを作成していきたいと考えています。
※本稿は、2024年10月4日に開催された「第2回ビジクル会」のビジクル活用事例「OKBのビジクル活用法~チラシを活用した診断から案件創出~」の講演を再構成したものです。